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59分

  • 執筆者の写真: Akihiko Morita
    Akihiko Morita
  • 2017年9月2日
  • 読了時間: 2分

「下町 ダウンタウン」 という古い日本映画を観ました。 原作・林芙美子。 59分はその上映時間。

戦前のサイレント映画などを除いても、一時間に満たない作品というのは意外とあったりするものです。

公開は1957(昭和32)年。 舞台は冒頭 「終戦後四年の初春」 とクレジットが入るので、昭和29年の設定。

茶の行商をしながら、シベリアに抑留された夫を待ち、小学生くらいの息子を育てる山田五十鈴。

ふとしたことで出会った、鉄くず回収業の三船敏郎。

偶然にも三船も、シベリアからの帰還者だった。

二年前の手紙を最後に夫の消息が知れない山田は、快活で男らしい三船に当然惹かれます。三船もしかり。

ある休日、三人がまるで家族のように、浅草の遊園地(花やしき)で遊び、映画を観た帰り道、土砂降りの雨に見舞われて、

彼らは木賃宿で一夜をともにします。

川の字に寝て、奥から三船、坊や、山田。

熟睡する坊やを挟んで、寝付けない大人ふたり・・・。

ここで初めて、三船がシベリアから帰還後、妻が別の男と暮らしていたことで別れ、

現在独り身なことが知れて。

 三船 「そっちへ行っていいかい?」

 山田 「駄目です」

・・・ありつつ、でもでも関係を結んでしまいます。

いいよ、それで良い。互いの心が癒されるのだから、恥じることないよ、とおれ呟き。

が・・・その後、とんでもなく悲しいラストを迎えます。

切ないとゆうか、なんと残酷とゆうか。 でもそれも、「現実」として受け入れなければい

けない、ならない人々。つまり戦争を経て学習したかのような「生き方」。

山田五十鈴も三船敏郎も、きっと「希望」を求めて生きていたこと。

人は「希望」に生きるしかないこと。

ラストで絶望する山田五十鈴。その表情。が、また新たな希望を見いだそうとするかのように、絞り出すような声で、幼い我が子に声をかける所。 歩く後ろ姿に号泣。

残念! ソフト化されてないんだよね〜

観て欲しい!

↓ 三船敏郎 「七人の侍」 こんなバージョンありました

↓ 山田五十鈴 こうゆうのも。これも観たよ良かった!

ぶっちゃけ、「戦争」がすべてを引き裂く、壊すこと。

そしてそのような破壊・絶望が、芸術を産むこと。この皮肉。


 
 
 

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