神は自らの内にある。
- Akihiko Morita
- 2017年1月25日
- 読了時間: 2分
マーティン・スコセッシ監督の新作、遠藤周作原作「沈黙」。
原作再読し、1971年製作(遠藤周作脚本、篠田正浩監督)版も初めて観て、
理解深めてハリウッド&今どきチャイナマネーで出来上がった超大作拝見。
先ほど発表されたアカデミー賞に、唯一撮影賞のみのノミネートが信じられないほど、
完成度の高い作品でした。
原作に忠実であるばかりでなく、日本の、長崎の景色や人々の姿が、違和感なく、
ロケもセットも台湾でやられたそうで。
なのに例えば、「ラストサムライ」とか「硫黄島からの手紙」とか、微妙においおい!と感じる日本描写がなく、
さすがスコセッシ、28年間も映画化に向けて闘った執念、恐れ入ります。
日本語の台詞も聞き取りやすく(録音技術は国民性と関わると感じていたので)そこの進歩にも感謝。
ただ、2時間40分は、多くの人にとって長いだろうな?と。
また、原作読まずに観るのも、これに関してはどうかな?と感じます(参考までに)。
原作は痛い。客観的に人が人を痛めることの事実を述べているから。
そして文章で迫られ想像した苦悩を、スコセッシは極めてリアルに、きめ細やかに表現した作品だと僕は感じました。
1971年版は名匠・宮川一夫撮影です。
CGなんて無い世界で、たとえ原作者が脚本に関わったとはいえ、ほぼ独立プロ製作であったものと、
今回ハリウッド全世界公開のものと、比べるわけにはいかないのですが、
宮川さんがこれを観たらなんて言うだろう?
極めて自然光のような見せ方で舞台が設定され、役者たちが空気と一体となり、臭いや群がる虫たちと共存して、
スクリーンの中で生きていること。
リアリティであり、芸術であるということ。
それを目の当たりに出来た幸せと、おれの使命を思います。


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