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恐れ多くも氷室京介と森田空海 その2

  • 執筆者の写真: Akihiko Morita
    Akihiko Morita
  • 2016年5月25日
  • 読了時間: 3分

2014年夏。 横浜スタジアム2Days 

収録は先ず、二日目を撮ることを前提にスタンバイしていました。

ところが横浜直前のライブで、「氷室京介を引退する」発言があったわけです。

マネージャーや一部の人は知っていたらしいのですが、おれも含めWOWOWさんも驚愕の展開。

で急遽、一日目も撮ろうと。ただし、あくまでもメインは最終日なので、初日はウイングカム(宙を舞うカメラみたいな)とか特機少なく。

そしてのちの番組用に、田中ディレクターがカメラを抱え、氷室さんに密着したのです。

この二日間でライブ活動を休止する。耳の不調に苦しみ、自分が考えるパフォーマンスが出来ないからという理由と、

一度言ったことは覆さない頑固な側面を知っていたので、僕たちもそれをしっかりと見届けなければと。

そこに、思いもせぬ事故が起こりました。

初日のリハーサル中、雨に濡れたステージで氷室さんは転倒。いつも足をかける転がしのモニターに胸を強打。

あと3時間で幕を開けるのに、肋骨を一本骨折、二本にヒビが入る事態に。

それでも執念でステージをこなし、翌日は、本人いわく三曲目あたりで残る二本も骨折し、痛みや悔しさや様々な思いを抱えながら、

アンコールに辿り着いた時、今度は近づいていた雷雨が激しくなり、至近のビルに落雷。主催者判断で約1時間の中断。

最後に一曲だけ歌わせてくれと、ソロデビュー曲 ANGELを渾身で歌いきったあと、「もう一度だけ、リベンジさせてくれ」と言葉を残し去っていきました。

三日後、本人のインタビューを敢行。

胸をギブスで固め、時折涙ぐみながら、ステージを振り返る氷室さん。

「天がタオルを投げて来た」 誰もどうしようもない、運命とはいかに過酷なものかと思いました。

編集はそんな思いを受け止めながら、およそ30台のカメラが切り取る男の姿に圧倒されながらだったので、

一曲つなぐたびに、ぶっ倒れてました。

そして二日目を自分なりに完成させた直後、「一日目をオンエアする」という決定が下され、

三日間くらいショックで動けなかった記憶ありますが、それも今となっては笑い話。

編集中、自分でもびっくりすることがあったのですが、26〜30歳のころ、今と違いテープ編集で、

カセットを交換しながらライブ編集をしていたころの自分に戻ったような感覚がして。

使っているのはキーボードで、コンピューターで、しかもマルチ画面で同時にすべてが見られて、作業工程は全然違うはずなのに、

「あ、これ一緒やん、この感じ」

背筋が震えるくらい、20代の感覚でやれたような気がしました。何かが降りてきたのだと思っています。

そこらへんの感覚、もうすこし考えてみたいので、またつづく。

*写真は当時のもの。二日ぶんが同時に動くのです。


 
 
 

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