舞台とは蒸気機関車なり。
- Akihiko Morita
- 2016年5月15日
- 読了時間: 2分
友人の舞台を観劇して。
お芝居を、ひとつの旅と仮定して、それに携わるスタッフ・キャストがテンポよく石炭をくべ、
蒸気の具合を判断し、走行しているとする。
観客は、揺られ、時にそれぞれ乗り心地を味わいながら目の前の景色に見入る。
走行に何らかの不具合を感じれば不快だろうし、その逆は爽快だろうし。
なぜSLなのかは、それが電気系統では動かない=人間のさじ加減で動くものだから。
安定走行が約束される電車ではない、あやふやさ。
石炭をくべるタイミングや、蒸気の上り下がり、気象条件、何もかもが一定ではありえない、怖さ。
10年以上も前になりますが、舞台を2本演出した貴重な経験を思い出すと、
稽古で繰り返ししたことでも、10数本の本番で、まったく同じ芝居にならなかったこと。
しかもそれぞれが、それぞれにライブであり、一回こっきりであって、それなりに味わいがあったり、
いくつかは頭を抱えるような出来だったり。
だから舞台はおもしろい。
カット!もう一回!がない世界。
もうひとつ、今日観ていて感じたことは、映像は、フレームに映るものが何か?を組み立てるために、
それまでも含め演出すること。そこにはスタッフ&キャスト、そこまでの空気を含めてなんですが、結果はフレームの中にしか残りません。
さらに編集などの後作業によって、再構築することが前提です。
舞台は、その場でどうあるべきかだけではなく、その前とその後が常に観客の前にさらけだされ、演出家の意図するものを、
後作業なしで、観客がリアルに判断すること。
あらためて、舞台のおもしろさを堪能しました。
しかも、同じ芝居を福島で2月に観て、小屋のキャパとセットとシナリオが、若干変わったお芝居を本日拝見させてもらったのですが、
監督のシュールな世界観が、どちらも甲乙つけがたく、舞台が広かろうが狭かろうが、きちんと狙いが絞りきれている感じがして、
いや、これは未見の人たちにはどうしても伝わるものではなく、機会があれば是非、彼らの挑戦を生で観てやって頂きたいと願います。
以下、本人に断り無く。
https://twitter.com/opelican
*写真は2年前くらいに撮った、小金井公園にあるSL

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